デジタル一眼レフマウント乗り換え購入記

 しばらく更新を休んでいたのは、自宅のPC環境その他をいろいろ更新していたからです。とりあえず一通り更新して落ち着いたので、また再開します。
 ちなみにメインをWindows環境からMac環境への乗り換え。別にMac自体は好きじゃないんですが、Xcodeを使うにはMacを使うしかないので仕方ないです。Windows機はサブ環境として引き続き活躍してもらう予定。

 あと、更新はスーパーフォーミュラの写真集の続きの予定でしたが、更新が止まっている間に一眼レフを買い換えるというトピックがあったので、ちょっと横道に逸れて購入記を書きます。スーパーフォーミュラについてはその後にまた続きを更新します。

 なお、内容に一部アレな部分があるので、雰囲気を中和するため、以降はくだけた文章になります(笑。
 それと、文章すっごく長いです。読む際はコーヒーでも傍においてごゆっくりどうぞ。



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 初デジタル一眼となったK- rからK-5IIsと、二台続けてPENTAXカメラを使ってたわけだけれども、まぁいろいろ思うところがあって、マウントごと他社に乗り換えることに。誤解なきよう最初に書いておくけれど、PENTAXのKマウント機はこと風景撮影においては絶対の信頼がおける機種であり、ことその方面に関してはカメラ自体に落ち度は全くなかったと断言しておく。ひとえに、自分の用途と合致しなかった、あるいはそれでもなお用途に合致させる技量が筆者になかっただけであって、K-rもK-5IIsも、共にデジタル一眼レフとしては名機に属するものであったと思う。
 今日のブログでは、とにかくこのマウント乗り換えに際して、いったいなんの機種に買い換えるんだという筆者の買い物選び、その懊悩を延々書いていくだけなので、まぁ基本的に他人が読んで面白いブログにはならんのじゃないかな。まぁ、「こういう風に考えるのもいるんだなぁ」みたいなところでは、もしかすると何か参考にする人もいるかもしれ……いや、いないかな。

 まずなんで乗り換えるかというと、わかりやすい理由としては、筆者の被写体の7割以上がモータースポーツにおけるレーシングカーだということ。
 そらまぁ、今までなんとかがんばってたわけだから撮影できないことはない。自分でも「おお、かっこいい!」と思えた写真だって何枚もある。ネットを見渡してみれば、すごく綺麗でかっこいいマシンの姿をKマウント機で撮影した写真がいっぱいある。……それはまぁ承知してるんだけど、Kマウント機が本来そんな被写体を想定していないことは、PENTAXのレンズラインナップからもロードマップからも、ボディの方向性からもまるわかりだ。

 どこから見ても風景特化なのがPENTAXマシン。おかげで、300mm以上の超望遠に関しては選択肢は基本的にないと考えてよく、キットレンズの55-300mmの次は単焦点300mmが一本と、46万円もするこれまた560mmの単焦点が一本。サーキットで使いやすそうな300〜500mm程度のズームレンズはシグマのものしかなく、PENTAX自身はこのあたりに全くやる気がないようで、欲しいものが出てくれないというのが動機だった。具体的に言うと、高速な超音波モーターを内蔵した超望遠ズームレンズが欲しかった。K-5IIsに純正の55-300mmを付けても、ギュインギュイン派手にモーター音を鳴らす割にはAFが遅いし、シグマの400mmだといちおうHSMという超音波モーターが入ってるけど、これもそんなには速いものではなく、なかなかのんびりフォーカスする。こいつらでバックストレッチから130Rに飛び込んでいくマシンなんかを狙おうとすると、けっこう苦労する。ヘアピンに四六時中張り付いてれば多少AFが遅かろうとどうとでもなるけど、一から十までずっとそこでばっかり撮影するのも芸がなさすぎる。F1でリアから火花を飛ばす様を撮ろうと思ったら、130Rとかのスピードが乗ってるとこで構えてないと仕方がない。
 まぁ新型のK-3だとK-5IIsよりもボディ内モーターのトルクがあって、55-300mmみたいなボディにAFを依存するレンズだと速くなったそうだけど、そういうのよりも、普通にレンズ内モーター載せて欲しいなーと思うわけです。

 いちおうロードマップにはそのあたりのズームレンズが計画されているようだったけど、今までの開発スピードを見てると、たぶん2〜3年は出ないんだろうなと思われたので、2014年シーズンの終了を待って、マウント乗り換えすることにしたというのが背景。

 惜しむらくはボディに限ればK-rでも、そしてK-5IIsならなおさら、モータースポーツ撮影に耐えうるカメラボディだったところ。特にK-5IIsはバッファが豊富なので、ひたすら連写し続けて数打ちゃ当たる作戦ができた。CanonやNikonに比べればAFは心もとないとはいえ、それ以外の性能は抜群なのがK-5系のボディなのだ。
 もし自分の被写体が風景ばかりだったら、K-5IIsは最高の機材だったと思う。いやもちろんK-3の方が良いんだろうけど、ともかく不満の全くないボディだし、レンズ群も風景撮影には具合の良さそうなレンズが一通り揃ってる。DA35mmF2.4ALなんて、超安いレンズなのにすご〜〜〜くよく写るんだ。ほんと大好きなレンズだった。あのレンズで初めて「写真撮影は楽しい」って思った。
 それに色が良い。あのわざとらしいくらいの記憶色はクセになる。記録色志向の人には耐え難いだろうけど、やはり空は抜けるほど青く写ってほしいし、木々は匂い立つほど緑色に写ってほしい。PENTAXの色は全メーカーで一番好みの色合いだもの。空も花も木々も、本当に綺麗な色で写ってくれる。PENTAXはネイチャーフォトグラファーに最適、という評判は真実だと思う。そして自分は全くと言っていいほどネイチャーフォトグラファーではなく、被写体の7割以上はレーシングカーという鉄の塊だ。PENTAXのカメラは最高だけど、使い手との相性はとても悪かった。そういうのはまず最初にデジタル一眼を買うときに考慮せいという話なんだけど、当時はあんまり深く考えてなかったから……。

 さて、背景はこのくらいにして話を進めよう。K-rはすでに売却済みだったので、買い換えるにあたってはK-5IIsと保有レンズを売却したお金が元でになったわけだけど、これはレンズ5本を含めて11万5千円になった。ここに、クレジットカードのポイントでもらったギフトカードやら、iPhone購入時のキャッシュバックやら、その他もろもろ足した16万5千円が購入資金。多少足が出てもいいとはいえ、さしあたってこの金額内に収まる範囲で機種選び。つまりまぁ、高価なフルサイズ機やら、出たばかりのフラッグシップAPS-CのEOS 7DMark2なんかは最初から対象外。エントリーフルサイズなら本体だけは買えるかもしれないけれど、レンズが揃わないから却下。
 さりとて、ミドルクラスの雄・K-5IIsの後に、いまさら初心者向けAPS-Cを買ってたんじゃ何をしたいんだかわからないから、なるべく同等品を選びたい。そんなこんなで二機種まで絞ったのが、Canon EOS 70Dと、Nikon D7100。

 当初はいちおう幅を広げてEOS x7iと、D5300も候補としてたけれど、こちらは選択から脱落。まず脱落したのはx7iで、これは連続撮影可能枚数が少なすぎるのが問題だった。K-rやK-5IIsを使っていた頃から、RAW+JPEGでずっと撮影していたんだけれども、x7iだとRAWで6枚、RAW+JPEGだと3枚しか連続で撮影できない。これじゃ少なすぎて、サーキットで困る事は疑いない。そんなに連写に頼ってるわけじゃないけど、それにしたって少なすぎる。

 D5300の方は、14bitRAWだと6枚、12bitRAWだと13枚。RAW+JPEGが書いてないけど、14bitの方で撮ったら多分x7iと同じようなものだろうと思われる。12bitの方は倍以上撮れるみたいで、こっちを設定しておけば連写で困る事はあんまりない。できるものを制限するのはモヤモヤするけど、まぁ被写体が被写体なので、いまさら多少階調が少なくなっても、目視でわかるレベルじゃないだろう。

 D7100についても同様で、ロスレスの14bitRAWだとこれまた6枚しか取れないけど、12bit圧縮RAWで撮れば9枚まで改善……って、アレ!?D5300より少ない? 確かに1枚あたり1MB強ファイルサイズが大きいけど、そこはほら、もうちょっと頑張ろうよクラス上なんだし。

 ちなみに店頭で連写テストしてみたところ、確かにあっという間にバッファが一杯になるようで、これは困りそう……、と思ってしまった。最初は小気味よくパシャパシャとシャッターが切れるのに、すぐにシャッターが降りなくなる。しばらく待っていると復帰するけど、この間にクラッシュシーンでもあろうものなら悔やんでも悔やみきれないだろう。AFに関する他のスペックはD7100の方がいいみたいなのに、なぜか連写枚数だけおかしい。これはググってみるといろんな人が指摘してた。

 じゃあもしNikonならD5300がいいのかな……。と考えてみる。そうすると、D5300はファインダーがペンタミラーだし、視野率と倍率も寂しいぞ〜、という声が聞こえてくるような気はする。撮影対象が、ほとんど直線移動とはいえ高速で移動する物体なので、像が大きく見えた方が追いやすいのは確か。D5300だと(x7iもだけど)そこがネックになった。
 ちなみに「ペンタプリズムの方がMF撮影時にピントの山が云々」は重要視しない。ピントの山をファインダーで確認なんてことは基本的にしないから。だって何が信用ならないって、自分の目ほど信用できないものはないんだもん。仕事で酷使しまくっていて視力は普段からよくないんだ。きつい度のメガネだと目が疲れて仕方ないし、近距離の目視でものすごい圧迫感がある。当初はこの歳で老眼かとも思ったが、医者はそうではないという。メガネの度がきついとそうなるんだって。
 いずれにせよ視力は大変によくない。遠近感も他人より劣っているようで、子供の頃からいろいろと苦労してた覚えがある。だから自分の目で見てMFなんて、今後何十年たってもちゃんとできる気がしない。だからAFに頼りきり。そうするしか自分には手がないと思ってるので、AF性能はとっても大事。

 で、そのAFだけど、気になるのはクロスセンサーがやたら中央に集まってることだろうか。39点のフォーカスポイント!と言うと何やら威勢が良いけど、クロスセンサーは中央部の9点だけで、周辺は全部ラインセンサー。ニコン機はみんなこの調子で、測距点だけはとても多いのだけれど、レイアウトはなんか変な感じ。

 そらまあ動体を撮ろうと言うんだから、中央一点で撮ることが多いわけで、そう考えると中央にクロスセンサーが密集してるのは理にかなってるような気もする。でも被写体を中央から外した構図だってあるわけで、例えば次のような写真を撮りたい場合、中央にばっかりクロスセンサーが密集してるのは使いづらい気がする。

P.MU CERUMO INGING 石浦宏明選手
スーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿決勝


 フロントノーズは中央に入ってるから、この写真自体は問題ないけど、イメージとしてはこういう寄せた感じの構図ね。まぁ写真の美羽ちゃんペイントみたいな模様ならラインセンサーでも捕捉できるだろうけど、レーシングカーってのっぺりしたペイントのものも数多くあるから、できるだけクロスセンサーで引っ掛けてほしい。

 とはいえ、ググってみても「だからスポーツ撮影で困ってる」みたいな話は皆無なので、本当は必要十分なのかもしれない。というかきっとそうなんだろう。上で書いたような話はおそらく杞憂だ。


 でもEOS 70Dと比べてみると、70Dの方が測距点が散らばっていて理に適ってる感じがする。39点に対して19点というと少なそうだけど、その19点は全部クロスセンサーなのだし。
 ただラインセンサーも含めた”範囲”を考えると、D5300はともかく、D7100と比べるとちょっと狭そう。D7100のAF範囲はとても広くて、左右はラインセンサーとはいえ、いろいろ幅が広がりそうな感じがする。つくづくバッファが足りないのが惜しい。
 まぁ測距点については、「動体ならこれだよ!」と言われてたEOS 7Dと数も範囲も変わらないので、やっぱりこれでほぼまかなえるんだろうとは思う。7D Mark2なんかだと、画面を覆い尽くす勢いでクロスセンサーが敷き詰められてて「スゲー!」と思うけど、あれはまぁ別格だし。

 結局、上を見るときりがないというだけの話。たぶんD5300でも70Dでも、どっちでも運用できるんだと思う。ただAF性能を重視する限り、やっぱり散らばってレイアウトされている70Dの方が都合が良さそう。これに対抗させるなら、明らかにエリアが広いD7100の方を挙げたい。ファインダーも良いし。連写に乏しいのがネックだけど、そこは工夫でなんとかならないだろうか。どうせ70Dに比べるとD5300でも連写性能は乏しいわけで、それならD7100で運用を考えた方が建設的な気がする。この時点でD5300が消えて、D7100が残った。

 あとは70Dにするか、D7100にするかという二択。

 さて、ずっとボディの話をしているけど、一眼レフで本当に重要なのはレンズなので、そっちも考慮しなければいけない。予算16万ちょっとでボディもレンズも買わなきゃいけないので、そうそう高いレンズは買えないから、最初は安物のレンズで構築することになるけど、だからこそ気をつけて選ばないと無駄金になってしまう。

 とりあえず必要なのはAPS-Cで300mm以上(35mm換算450mm以上)のズームレンズ。あとできればAPS-Cで35mm程度、つまり換算50mm程度の単焦点レンズが欲しい。安いのでいいから。それと標準域をカバーする便利ズームが欲しい。

 これをまずNikon機で選ぶ場合を考えてみる。
 比較的安い価格帯の超望遠レンズだと、純正で次の二つ……

 AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR
 AF-S VR Zoom-Nikkor 70-300mm f/4.5-5.6G IF-ED

 あと、評判の良いタムロンのレンズを加えてみる
 SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD (Model A005)

 同価格帯にシグマの18-300もあるけど、とりあえず高倍率ズームは除外ということにする。
 で、上記の3本のうち、純正の55-300はテレ端がもやっとしてる上にAFが遅いそうなので不採用。残りは純正とタムロンの70-300だけど、この二つは性能的にあんまり変わらないんだそうだ。となると、タムロンのA005のほうが安くていいのかな、というところ。
 単焦点レンズは、純正のAF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8Gが手頃でいい感じかなぁ。便利ズームはキットレンズのAF-S DX NIKKOR 18-105mm f/3.5-5.6G ED VRで問題ないかな。便利ズームというには望遠側がやや足りない気もするけど、まぁ換算150mmもあればたいがい大丈夫でしょう。

 ひるがえってCanon機を考えてみる。
 300mmだと純正のEF70-300mm F4-5.6 IS USM

 それとやはりタムロンのこれ。
 SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD (Model A005)

 単焦点だとEF-S24mm F2.8 STMで、便利ズームはキットレンズのEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM。
 この辺りが候補。

 さて、問題なのはAF速度と精度。ボディがいくら性能良くても、レンズのAF速度が遅かったら意味がない。「どうせ安レンズなんかどれでも同じだろう」とか言わないの。安レンズの中でだからこそ、少しでも良いのを選ぶべき。ちょっとでも性能がいい方が嬉しいじゃないか。20万円もするレンズと比較しないでください、そういうのはお金持ちに任せておけばいいです。

 調べてみた限りでは、一応どれもモータースポーツ撮影くらいなら使えそうな感じではある。本当は実地で実機で確認できればいいんだけど、あいにくモータースポーツは現在シーズンオフだし、仮にシーズン中でもこんだけ全部レンタルしていったら、何か良いレンズが買えそうな金額になりそうな気もするし、そもそも安レンズなんてレンタルしてるのかどうかも知らない。

 ただ、ひとつ「おっ」と思ったことがあって、それが70Dのキットレンズとして付属するEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM。これのAFの速度がすご〜く速い。精度はどうか知らないけど、店頭で触ってみた感じ、とっても速い。大ボケ状態から測距させても、本当に一瞬でピントが合うので驚いた。さすが動体に強いと言われるCanonと感心した。

 逆にNikonの方は、キットで付けられていた18-105でも、AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VRでも、あるいはAF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-5.6G ED VRでも、Canonの18-135に比べると1テンポか、どうかすると2テンポくらい遅い気がする。話によるとすごく綺麗に写るらしいので、風景にはバッチリ合うんだろうけど、自分が想定する用途はそこじゃない。
 もちろん、これらのレンズが遅いだけで、他にもっと速いレンズもあるんだろう。聞いた話ではAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR IIというレンズが爆速だそうだが、しかし25万円弱もするレンズが凄いと言われても「はぁそうですか」としか言いようがない。買える人はそれでいいんだろうけど、こっちはあいにくそこまでの度胸がない。

 あとNikonのレンズラインナップを見ていて思うのは、”ちょっと高いけどお小遣いの範囲で買えそうな”超望遠レンズがとても少ないということ。なぜか高倍率ズームだけたくさんあるのだけど、70-300とか120-400みたいなレンズがあまりない。
 高倍率ズームを除くと、5万円台の70-300mmの次は、一足飛びに14万円前後の300mm単焦点だ。そら単焦点でもサーキットで運用できるだろうし、実際そうしてる人もいるけど、ズームの利便性は捨てがたい。高倍率ズームだとさすがに画質的に不利だけど、だからと言って単焦点では利便性的に不利だ。普通のズームレンズがいい。しかしこの”普通の”ズームになると、とたんに23万円弱もする80-400になってしまう。

 こういうラインナップってどこかで見たような?と考えると、PENTAXがこれと似ている。あっちも4万円台の55-300mmの次は、一足飛びに13万円の300mm単焦点だ。ズームレンズになると645マウント以外は皆無で、そこら辺はさすがにNikonの方が豊富と言えるが、庶民からすると買えないレンズなんか100本あったところで意味がないから、どっちも変わらんと言える。なお、その13万円の300mm単焦点の上は(645マウントを除くと)560mm単焦点が一つだけ。あまりにあんまりだ。

 そこらへん、Canonだと10万円台にその手のレンズ群が並んでいるので、「ちょっと高いけどこれならこつこつお小遣いを貯めてなんとか……」と思える。スポーツ撮影でプロ以外にもCanonが支持されるのは、AFどうこうよりも、むしろそういうところじゃないかと思ったりする。

 いちおう200mmクラスだと、十万円台で具合の良いレンズが複数あるようなので、Nikonで超望遠を運用したいときは、この手のレンズにテレコンをつけるのがベターな選択なんだろうな。でも200mmにテレコン付けて300mmとか400mmに伸ばすなら、最初から300mmだった方がいいじゃない、F値暗くなっちゃうし……。

 ともかく、このCanonから2012年に出た18-135の速さを見るにつけ、少なくとも2012年以降の同じモーターを搭載したレンズならこのくらい速いのでは?と思うのは必然。あいにく300mmレンズにはそれはないんだけれど、55-250mmの焦点域で、2013年に発売されたモデルがある。それがEF-S55-250mm F4-5.6 IS STM。調べてみると、これがやっぱり速いらしい。CanonのLレンズシリーズという高級モデルに匹敵するかそれ以上じゃないかという人までいる。さすがにそれは言い過ぎだとしても、18-135同様に速いらしいことは窺い知れる。焦点距離が50mm足りないけど、ヘアピンとかホームストレート(のホスピタリティテラスから)とかでなら充分使える。リリースが新しい分だけ長く使えそうだし、テレ端50mmを犠牲にしてでもこれがいいかも? ドライバーのヘルメットを大写しにするとかには足りないけど、そこは400mmか500mmのズームを中古で買い足すとかすればいい。どうせその用途では300mmでも短いし、なんなら撮影した後でトリミングしてしまえばいいし。

 しかし、あえて意地悪く考えてみると、そこまで爆速のAFじゃないとダメなの?と言えなくもない。バックストレッチから130Rに飛び込んでくるあたりで撮影しようとすると、丘の陰から突然現れて一瞬で走り去って行きやがるので、こういう場所だと必要なんだけど、それ以外の場所だとマシンは比較的遠くからすでに見えているから、その段階でAFを合わせに行っておき、あとは被写体にAFが追従してくれれば良い。それなら速度よりも追従性の方がより重要だから、多少AFが遅くてもなんとかなる。聞くところによると、速さはCanonだけど、粘る(追従する?)のはNikonだという。それに加えてAF範囲の広さを考えると、D7100はとても都合が良いのじゃないか?と思えてくる。……バッファの問題さえなければ。

 つくづくD7100は惜しい。動体にとても強そうなスペックで、そのうえ風景を撮らせても凄そうなカメラなのに、連写しようとすると途端に使いづらくなってしまう。
 ただ見送るのはあまりに惜しいので、なんとか運用できないかと考えると、連写が必要な時はJPEGで撮るとか、12bitRAWにするとかだろうか。あと、クロップモードというモードで撮ると、多少連写が伸びるらしい(サイズが小さくなるためと思われる)。それに加えて、書き込み速度の速いSDカードを使って復帰を早くするとか。通販なら5千円ちょい出せば、書き込み速度が90MB/s超のSDカードが売ってるし、これを使えばそこまで困ることにはならなそうだし。

 あとはもういっそ連写には頼らないと決めるとか……。だいたいマシンがかっこよく写る角度なんてそうそういくつもあるわけじゃないから、ファインダーで注視しながら、ここぞというところでシャッターを切れればそれでいいはず。サーキット撮影は年に何度もやっているし、そうやって運用でカバーできなくはないはずだ。

 とはいえ、運用でカバーできるというのは、つまりその部分では苦労させられる、ということ。自分の目的と照らし合わせて、その苦労に見合うだけのものがあるかどうか。D7100の見返りは、きっと素晴らしい風景写真の画質だろう。2400万画素ローパスフィルターレスの解像度と定評のあるNikonレンズの写りが合わされば、とっても素敵な画質の写真を出力してくれそうだ。聞くところによればCanon機はAF速度はともかく精度はNikonに及ばないそうだし。
 でも、被写体の大半が風景ではない自分にとって、そこを中心に考えるのは無理がある。
 それに、静物の写真を撮るのであれば、実のところミラーのある「一眼レフ」よりも、ミラーのない「ミラーレス機」の方がいい。一眼レフはその構造上、AF精度を上げるのに苦労するし、ピント調整などのメンテナンスが必要になる。センサーそのものでピントを合わせるミラーレス機の方が、静物を撮るには適している。それに、D7100については、高画素とローパスフィルターレスという高解像度のセンサー性能のため、レンズの解像度とピント精度に非常にシビアで、かなり気をつけて撮らないと期待するほどには画質が上がらないとも聞く。噂されるところでは「ホームランか三振か」という極端な機材だそうで、バッチリはまればハイレベルな画像が出力されるそうだけど、そうでなければ残念画質。ネット上で調べていると「神経質な」「気難しい」というような形容で語っているユーザーを幾人も見る。
 そう考えると、D7100で工夫しながら運用するより、スポーツ写真は70D、静物風景は扱いやすいミラーレス機をもう一台、という方が結果的に幸せな気がする。

 ちなみに少し横道にそれると、像面位相差AFなどの技術が今より進化すれば、最終的にミラーレス機は一眼レフに取って代わると思ってる。一眼レフは構造に無駄が多く、それによってユーザーに様々な負担を強いる。現在のミラーレスの性能ではまだ無理だけど、たぶん近い将来シェアは逆転し、一眼レフは一部のオールドファンが趣味でたしなむものになるんじゃないかな。フィルムカメラと同じく、ニッチな需要になると考えられる。マウント乗り換えで一眼レフを買おうとしている人間が言うことではないかもしれないけど、技術の進化は人間の都合とノスタルジーを考慮しないので、嫌でもシーンは塗り替えられるし、そうであるべきだとも思う。それがいつになるかはわからないけれど。

 ともかく、いろいろ考えると、用途的にはやはりNikon機よりCanon機の方が全般的に使い勝手が良さそうに思える。D7100はどうにもピーキーで、逆に70Dは最高値ではD7100に及ばなくても、実際の撮影においてはユーザーにやさしく破綻の少ない機材に思える。D7100にはないバリアングル液晶モニタも魅力的だ。
 バリアングルなんていらない!写真はファインダーを覗いてこそだろ!という人も見かけるが、写真撮影で重要なのは結果として出力される写真であって、撮り方なんぞなんだっていいと思う。少なくとも筆者はファインダー撮影に特殊な思い入れは一切ない。そもそも自分で最初に買ったカメラはデジカメだったんだから。RICOHのRDC-5000という機種なので、一応ファインダーはあるにはあったけど。
 それにファインダーの方が撮りやすい被写体はもちろん存在するが、バリアングルモニタのほうが撮りやすい被写体も当然存在する。ローアングル、ハイアングルの写真はどうがんばってもファインダーよりバリアングルモニタの方が都合がいい。「寝転がれば、脚立を使えば撮れるだろう」というのはバカバカしい考え方で、苦労が少ない方法があるならユーザーはそちらを選択すればいい。どうしても寝転がりたいというなら、まぁ無理に止めはしないけど。

 まぁいろいろ考えていくと、多機能で使いやすそうな70Dかベストマッチかな?
 うーん、でもD7100の「ハマれば最高」というのは、使いづらそうという印象と同時に、一種の凄味のようなものを感じさせて心惹かれるんだよなぁ。打率は悪くても、フィルムカメラじゃあるまいし、枚数ならいくらでも撮れる。10枚中9枚ピントが甘くても、1枚の凄い写真が撮れていたなら、そういう付き合い方もありなんじゃないか?という気がする。

 それに、Canon機ではなくNikon機を買うメリットが一つあって、それは自分の周辺にはNikonユーザーがいて、機材を融通し合えるということ。被写体の傾向が違うのでそうそうなんでもというわけにはいかないけれど、ストロボ等のアクセサリー類を含め、機材の貸し借りができるというのは心強い。今以上に話も合うだろうし。

 でも実際に写真を撮る場面においては70Dの方が使いやすそうだし、低価格なレンズでもAF速そうだし、打率1割のホームラン王よりは単打をアベレージで稼ぐ首位打者の方が……
いやしかしD7100のポテンシャルは捨てがたい……

 うーん、わからん! どっちが自分にとって正解か。どっちを選べば幸せか。
 どっちも正解なような気もするし、どっちも間違ってるような気もするし。
 今時のカメラなんだから誤差の範囲みたいなもんだと言われればそんな気もするし、ちょっとの違いで結果は大きく違ってくると言われればそんな気もする。

 そうやって何日間かはずーっと悩んでた。こうやって何かを選んで悩むということは楽しいことだからそれはいいんだけど、はたから見たら「なんでもいいからとっとと決めたら?」って感じだったろうなぁ。
 でもどっちもなんとなくこれといった決定打がなくて、どうにも決めあぐねていた。なんとなく「AFの速度か精度か追従性か、というところが最後の分かれ目かなぁ」などと考えながら、会社帰りにビックカメラに寄っては、手に持った感触やらファインダーの見え方やらシャッター音の具合を聞き比べたり。
 あるいはカタログのキャッチコピーやらネットの作例やらレビューやらを見ながら悩んだり。曰く、CanonはAFは速いけど精度は悪く、NikonはAF精度は良いけど速さは劣る……。異口同音に語られるそれらの評価。
 そんなものを見ながら、ふと、本当に何気なく気持ち悪いことを思ってしまった。

「速いけど外すってまるでドジっ娘だな」

 なんでか知らないけどそんなことが頭に浮かんだ。

「使いやすい=フレンドリー、速いっていうと足が速くて……、でもどこか抜けてる……。なんか幼馴染キャラにいそうだな。足の速いフレンドリーで天然な幼馴染って、ああ、そういえば一人いたな、ToHeart2の柚原このみ……」

 人間ずーっとあれこれ考えていると、ロクでもないことを考えるという悪い見本がこれかもしれない。この瞬間から、70Dは自分の中で柚原このみのイメージになってしまった。
ちなみにD7100は、気難しくて扱いづらいけどポテンシャルはすごく高い、ということで、アイドルマスターの如月千早のイメージになった。

 もちろん、どっちの機種もちゃんと使ったことはないんだからただの妄想でしかないけど、思ってしまったものはどうしようもない。それにこのみみたいな幼馴染みがいたら最高じゃないか。あんな可愛くてよく懐いてくれる子が自分の隣に住んでたら、絶対に今と違う人生を送っていたはずだ。え、そういう話じゃない?

 まぁとにかく、このみと千早なら圧倒的にこのみが好みだ。

 これが星井美希だったらこのみと互角の争いになるが、あいにく美希はズレてるだけで気難しいわけではないし。それに美希に関しては手持ちのPENTAX Q10のイエローにグリーンのグリップを合わせて「美希一号」として活躍中だし。

美希一号(PENTAX Q10)


 もちろん美希一号は売却はしていない。いつかQ7あたりの同色に買い換えるかもしれないが、その時は「美希二号」になる。二号ってなんか嫌な響きだな。なおQ-S1は美希カラーにできないので、あれを買うことはあり得ない。

 さて、ここまでくると読んでる人も嫌な予感がしているだろうが、白状すると上で書いた理由により買う機種が決定してしまった。

 CanonのEOS 70D。購入動機は「なんとなく柚原このみに似ている気がしたから」。

 Q10が美希一号であるように、70Dはもちろん「このみ一号」。
 世界広しといえども、そんな理由で70Dを買った人間は自分をおいて他にはいないだろうな。そして今後も現れないだろう。自分でもアホかと思うが、まぁカメラとしてはちゃんとした機材だろうから(人気機種だし……)、結果としては悪い買い物じゃないはずだ。

 それと、上の方で述べたような理由が決め手だったんだから、D7100が70Dに比べて劣っていたとかでは決してない。D7100もたいへんポテンシャルの機種で、使いこなしは難しいかもしれないけど、とても満足度の高い逸品だと思う。ネットだとCanon党とNikon党が喧嘩しているのを見かけるが、CanonとNikonのカメラに絶対的な差はない。どちらにもそれぞれの長所と短所があるだけだ。今回たまたまアホな理由で70Dを選んだけど、もしD7100を選んでいればそれはそれで楽しいカメラライフを送れるだろう。モータースポーツ撮影にも強いだろうし。

 まぁなんにせよそういうわけで、我が家にこのみ一号がやってきました。





 これからたっぷり活躍してもらいましょう。
 サーキットデビューは3月の鈴鹿モータースポーツファン感謝デーで、次は4月のスーパーフォーミュラ。これがこの機種での初めての本格的なモータースポーツ撮影になるね。シーズンまではまだ遠いけど、しばらくは練習も兼ねて風景撮影しながら操作に慣れていこう。

 なお、購入金額は次の通り。税込価格です。
 EOS 70D:¥126,000
 EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM(アウトレット):¥27,000
 EF-S24mm F2.8 STM:¥18,680
 計:¥164,680

 これにレンズプロテクタを買ったので実際には足が出ていますが、まぁほぼ当初の予定通りでしょう!

 というわけで、EOS 70D購入記でした。

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